教員の研究紹介③
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- 舛谷 鋭 交流文化学科 教授
- Masutani Satoshi
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- Profile
- 早稲田大学第二文学部東洋文化専修卒業、東洋大学大学院修士課程修了。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学助手を経て、1998年より本学勤務。2005~2006年マラヤ大学客員研究員、2014~2015年南洋理工大学客員教授。 研究者情報
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人の移動を
言語文化から考える観光文学研究は、旅行記や紀行文、読み物としてのガイドブックだけでなく、旅について書かれたフィクションに図画像・映像まで加えた「トラベルライティング」を対象としています。そうした「観光の文学」とともに、人間の投影でない自然そのものを読み解くエコクリティシズムや、戦後の焼け跡に近代文学の舞台を探し求めることからはじまった文学散歩など、「文学の観光」が私のテーマです。ゼミは、国内では都市と文学の関わりをもとにした文学散歩・舞台探訪として、主に東京で近代文学の「幻景」を巡っています。海外ではマレーシアの大学での学生交流や、カンボジアのフリースクールで学生自身が教壇に立つなど、単なる物見遊山に留まらないスタディツアーを実施しています。行動の前後に、大学だからこそ閲覧できる文献を参照し、経験の意味や意義を考えながら、貴重な体験を自分のことばで正確に表現し、他者に伝えられることを目指しています。
おすすめの書籍-
- 幻景の街―文学の都市を歩く
- 前田愛
(岩波書店、2006年)
立教大学図書館に文学散歩や舞台探訪関連書が多いのは、前田愛先生のおかげ。
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- 東京ハイカラ散歩
- 野田宇太郎
(角川春樹事務所、1998年)
フランス語「プロムナアド・リテレエル」から「文学散歩」という和製語を創出した野田宇太郎が歩き始めたのは、敗戦後の焼け跡と進駐軍の時代だった。今も近代文学の痕跡を探し出すことはできるか。
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