大学院生活
院生インタビュー
大学院生紹介#01
- 観光学の多面性を
実感しています - 大学時代はマーケティングや政策について学び、茨城県坂東市の観光政策をテーマに卒業論文を執筆しました。具体的には、行政や市民の方々にインタビュー調査を実施し、観光政策に対する両者の考え方の違いを明らかにするとともに、市の取り組みに関する評価を試みました。大学卒業後は一般企業に就職しましたが、観光学の知見をより深めたうえで観光に携わりたいと考え、退職して観光学研究科に進学しました。
大学院では、グリーンツーリズムをテーマとした研究に取り組んでいます。グリーンツーリズムはこれまでにさまざまな視点から分析がなされてきましたが、特に、農家など生産者の視点から、グリーンツーリズムに対する国と自治体の認識の差や、グリーンツーリズムを導入するうえでの課題などを明らかにしたいと考えています。
現在は、観光地理学や観光社会学、観光文学など、大学時代には触れることのなかった多様な分野の講義も履修しています。これらの講義を通じて、観光学の多面性を知るとともに観光に対する新たなものの見方を身につけているところです。また、仲間の大学院生の関心や国籍も多様性に富んでおり、講義でのディスカッションや日常的なやりとりを通じて、観光だけでなく社会や文化に対する視野もひろがっていることを日々実感しています。

染谷 有希
同志社女子大学現代社会学部社会システム学科卒業後、企業勤務を経て博士課程前期課程に進学。
大学院生紹介#02
- 学際的な
研究環境の強みを活かして - わたしは文化人類学の立場から観光現象について研究しています。卒業論文と修士論文では、当時世界遺産登録運動が推進されていた「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に着目し、地域の人びとが世界遺産化や観光開発をいかに受容しながら日常生活を営んでいるかについて、人類学的な「問い」を発展させながら記述し考察を行いました。
現在は、フィリピンから日本を訪れるツーリストによる観光ビザ申請手続きを取り上げ、マニラの旅行会社でのフィールドワークにもとづいて調査を進めています。国境を越える観光という移動では、パスポートやビザの入手、空港での出入国審査など複数の身分証明や審査手続きを経る必要があり、そのプロセスでは、わたしたちの「身分」や「身体」が問題化されることになります。
「ひとはどのようにして観光者となるのか?」 ― わたしは、観光ビザ申請を人びとがツーリストとして自らの身分を構築・獲得していく実践ととらえ、文化人類学的に分析することで、観光学が向きあい続けてきたこの本質的な問いに応答しようと考えています。観光学研究科は、多様な専門性に立脚する教員と大学院生が集まる学際的な「場」です。こうした環境の強みを活かして、法学や政治学、社会学、経済学といった他分野の知見もひろく参照しながら博士論文の執筆に取り組んでいます。

石野 隆美
獨協大学外国語学部交流文化学科を卒業後、博士課程前期課程に進学。修了後は博士課程後期課程に進学。2021年度より日本学術振興会特別研究員(DC2)。
大学院生の一日

学部は獨協大学外国語学部交流文化学科を卒業しました。「みる」行為を鍛えることに主眼をおいたゼミに所属し、かっぱ橋商店街、かっぱ巻き、100年前の横浜写真などを題材にガイドブックを執筆していました。
卒業論文では、元米軍用住宅をリノベーションしたものが日本人向けに貸し出されたことから、「アメリカンな観光地」として人気を得ている埼玉県入間市のジョンソンタウンという街について研究しました。戦後から現代にかけて日本社会の中でアメリカのイメージがどのように形成されてきたのかという視点からこの街を分析していったのですが、「実際にジョンソンタウンに暮らしている人びとが、この街をどうみているのかを知りたい」と思ったことから、大学院に進学して研究を続けています。
立教大学大学院の観光学研究科は、実家から通える距離にあって研究対象であるジョンソンタウンにも近く、また院生が利用できるデータベースも充実しているため、研究に集中できると考え、進学先として選びました。
- 奨学金について
- 中植さんは、立教大学大学院給与奨学金と日本学生支援機構の第一種(貸与)を利用しています。



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Daily Schedule
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Weekly Schedule
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Yearly Schedule
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近年の主な研究テーマ
修士論文
- 観光体験の価値としての「懐かしさ」の生成過程
- 日本におけるモンゴル国の観光地イメージとその形成
- 架空の舞台設定を擁するコンテンツツーリズムに関する研究 ― 機動戦士ガンダムシリーズを事例に
- 観光行動における抖音( 中国版TIKTOK )の使い方とその動機 ― 中国若者観光者と重慶観光を中心に
- Travel Influencers ’ Projected Destination Image in Sri Lanka:Photograph Analysis of User Generated Contents on Instagram
- 鉄板焼の誕生と受容 ― 日本のホテルを介した流動的な食文化形成のありかた
- 戦前期宮島における観光開発と旅行の展開
- マサイ観光とジェンダー ― 関係性からみる女性たちの多様性
- 着地型観光の実態と中間組織および事業者が果たす役割 ― 和歌山県田辺市を事例として
- 自然観光地の復興過程における「語り部ガイド」の役割に関する研究 ― 中国九寨溝地震後の災害伝承の分析をもとに
博士論文
- 港湾都市・門司港市街地の再編過程にみる観光地化の空間的特色
- キルギスにおける社会体制転換に伴う観光の変容 ― ソ連時代経験者の観光実践を中心に
- The Empirical Relationship Between International Tourism Growth and Poverty Reduction
- ルーラルツーリズムにおける農村女性の役割 ― イタリア南チロルを事例として
- パッケージツアーの構造とその変化 ― 製品アーキテクチャ論からの分析
- モビリティが生む時限的つながりに関する社会学的研究 ― 東南アジアの日本人向けゲストハウスにおける観光者の経験を事例として
- ツーリズム・モビリティーズの社会理論 ― 観光社会学の深化と刷新を志向する理論研究
学生サポート
立教大学ならびに観光学研究科は、大学院生の研究活動を様々な側面からサポートしています。
奨学金
立教大学は大学院生向けに複数の給与型奨学金を設置しています。その他、日本学生支援機構奨学金や民間育英団体による各種奨学金に申請することが可能です。
研究助成
立教大学は「立教大学大学院生学生学会発表奨励金」や「立教大学学術推進特別重点資金(立教SFR)」により、研究発表や論文投稿を含めた大学院生による研究活動全般への助成を行っています。
専用施設
観光学研究科は在籍者に対して専用施設を提供しています。在籍者は大学院生室と呼ばれる共用スペースに設置された机、書棚、ロッカー、パソコン、プリンタなどを使用することができます。