研究紹介
石橋正孝准教授の監訳書『レペルトワール』が刊行されました
2025.1.20
観光学部の石橋正孝准教授(フランス文学)の監訳書『ミシェル・ビュトール評論集 レペルトワール』の第4巻が刊行されました。石橋准教授は530頁にも及ぶ著作を翻訳(監訳)し、ビュトールの評論を日本に紹介する先駆的な研究を続けています。
【石橋准教授によるコメント】
20世紀フランスを代表する作家・詩人・批評家のミシェル・ビュトール(1926-2016)による全5巻の評論集シリーズ〈レペルトワール〉の翻訳を進めていますが、今回は第4巻が刊行されました。世界中を旅して特異な「紀行」作品〈土地の精霊〉シリーズ全5巻を著した実作者として、改めて文学と移動の関係を体系的に捉えなおそうとしたエッセイ「旅とエクリチュール」がこの第4巻の冒頭には据えられており、第3巻に収録され、ギリシアという土地の特性を論じた「場所」というエッセイとともに、観光学にも示唆を与えうる文章だと思います。フランス文学の古典はもちろん、絵画作品もホルバイン、カラヴァッジョから北斎、モネ、ピカソ、モンドリアンを経て、エルンスト、ロスコ、スタインバーグまで幅広く論じられており、特にこの第4巻に収められた長大な「絵画のなかの言葉」は、ヨーロッパ絵画全般に対する入門的ガイドとしても優れていて、さまざまな関心に開かれた書物になっているので、ぜひ書店や図書館で手にとっていただけると嬉しいです。
刊行された監訳書『レペルトワールⅣ』