活動の報告

授業から派生した学生の沼津市での活動をご紹介します

2020.8.4

観光学部では、現地を実際に訪れて調査を行う授業を数多く提供しています。

今回ご紹介する3年次の矢川未空さんは、「観光地研究演習」の履修をきっかけに沼津市の「観光振興ビジョン改定懇話会」のメンバーに就任しました。この授業は、全国の観光地を6つの分析視点から研究するグループワーク主体の実践的な授業で、2年次、3年次を対象としています。

それでは矢川さんへのインタビューをお読みください。

 

・「観光地研究演習」を履修した動機と、沼津市に関わることになった経緯を教えてください。

学習の軸が持ちたかったので、時間をかけてひとつのテーマに取り組むことができるこの授業を履修し、SNSが観光に与える影響を調査するチームに加わりました。沼津を研究対象にしたのは先生の勧めです。沼津はアニメの聖地として有名ですが、他にも自然・歴史・温泉など観光資源が豊かな場所なのです。

 

・授業での調査はどのように行ったのですか?

実は、私たちは沼津のことをよく知りませんでした笑 そこで基本情報の収集から始め、その上で現地を訪れて実態の把握を行いました。
事前調査では、沼津は今まで知らなかったことが不思議なくらい魅力的な場所でした。富士山や駿河湾、おいしい魚はもちろんのこと、深海魚水族館や自然の中で宿泊できるINN THE PARKのような「映える」施設もあります。市の観光ウェブサイトも工夫されていて、観光に力を入れていることが感じられました。
でも現地調査に訪れると、深海魚は展示が中止、レストランは夕方には閉店と、観光資源を活かしきれていない印象でした。現地では観光課の方と意見交換を行い、私たちが感じたギャップやその改善点などを話し合いました。

 

・懇話会についてと、メンバーになった経緯を聞かせてください。

懇話会は、沼津の観光について多様な視点を得るために設置されました。大学教員・学生・外国人などさまざまな人がアイディアを出し合う場となっています。私は、若者の代表として参加しています。観光課の方とのディスカッションで一番熱かったのが私だったとのことで、沼津市に寄り添った考え方も評価していただきました。依頼状を受け取ったとき本当に嬉しかったです。

 

・どのような提案をしているのですか?

沼津の観光が聖地巡礼に支えられているのは事実ですが、私たちは事前調査でも注目したINN THE PARK(公園型宿泊施設)を押し出すことを提案しました。学生にアンケートを取ったところ、旅行に行きたいと考えるのは「癒されたい」とき、「そこでしかできない体験」がある場所だとわかりました。INN THE PARKでは、誰もが知っている富士山や駿河湾とは違った沼津の自然や、変わった形のテントでの滞在という独自性のある体験を年齢を問わず楽しむことができます。また、アンケートでは情報源として公式ではなく訪れた人のSNS発信の影響力が強いという結果も出ました。それらの要素を組み合わせることで有効な観光の誘致につながると考えています。

 

・授業や調査から学んだことを教えてください。

課題を解決に導くには、相手の立場に立って考える態度が不可欠だということです。観光地づくりは、様々な人との対話や議を通じてこそ進められるものであり、事前調査と同じくらい現場での観察やコミュニケーションが大切だということを学んでいます。将来は「人に寄り添い、幸せや笑顔の記憶を増やす」職業を目指していますが、観光地研究演習で今まで知らなかった場所や人の価値観、考え方、ニーズを知り、考えることがその希望を叶えるための勉強にもなっていると感じます。

 

写真左は「観光地研究演習」のチームメンバー(岩田 萌、小針 彩未、矢川 未空、角張 佑芽)、右は沼津市役所での調査の様子です。