研究紹介

<受験情報ページCLIP掲載>対談01「ポストコロナ時代の観光学」

2021.2.22

西川亮(観光学科)

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高岡文章(交流文化学科)

 

対談「ポストコロナ時代の観光学」01

 

 

―― このたび、立教大学観光学部では広報誌『RT』を創刊することになりました。記念すべき第1号では「ポストコロナ時代の観光学」を特集テーマに掲げ、観光学部の教員による対談を企画しました。観光学部は観光学科と交流文化学科の2学科から構成されていますが、今回は観光学科から西川亮先生、交流文化学科から高岡文章先生に登場していただきます。まずはおふたりから自己紹介をお願いします。

 

西川 観光学科の西川です。専門は都市計画やまちづくりで、行政による観光政策や市民による観光まちづくりについて研究をしています。特に、計画史や政策史といった歴史的な研究と具体的な地域を対象とした持続可能な観光に関する研究に取り組んでいます。本日はよろしくお願いします。

 

高岡 交流文化学科の高岡です。専門は観光社会学です。都市や文化、メディアなどをキーワードに、観光を社会学の観点から研究しています。最近は、移動論やパフォーマンス論など、観光社会学の理論的な展開に関心を持っています。本日は西川先生との対談を楽しみにしています。よろしくお願いします。

 

―― ありがとうございます。遅れましたが、司会は交流文化学科の千住が務めます。本日はよろしくお願いします。

 

■ 新カリキュラムの手応え

 

―― 本題に入る前に、COVID-19、いわゆる新型コロナウイルス流行拡大の影響で、2020年度の春学期から急遽取り組むことになったオンライン講義についてうかがいます。観光学部では、2020年度から新しいカリキュラムをスタートさせましたが、その核のひとつが1年次の春学期に配当されている「基礎演習」です。これは、同じく1年次春学期の必修科目「観光学概論」とセットになっている科目で、大教室で受けた「観光学概論」の内容をクラス単位の「基礎演習」でふりかえるという組み合わせになっており、知識の定着や視点の深化などといった学習効果を狙って設計されました。

 

西川 私は「基礎演習」のクラスで24名の新入生を担当しました。「観光学概論」も「基礎演習」も初回から最終回まですべてオンラインで開講されましたが、「観光学概論」は単元によって教員が変わるオムニバス形式だったため、各講義担当者のカラーが出る興味深い内容でした。私の「基礎演習」クラスでは、各回の「観光学概論」の講義内容に沿って「簡単には答えが見つからないテーマ」を設定し、24名の学生を6つのグループに分けて毎週異なるメンバーの組み合わせでディスカッションを行いました。ときにはワールドカフェ形式にもチャレンジしましたし、回を追うごとに学生たちもブレイクアウトルームでの議論に慣れていったため、100分間の授業時間では足りないほどでした。

 

高岡 「簡単には答えが見つからないテーマ」って、具体的にはどういったものでしょう?

 

西川 たとえば、観光学部のある新座キャンパスからほど近い川越は歴史的な町並みで知られていますが、伝統的な建築物のなかに、洗練されたデザインでコンクリート造りの現代的な建築がひとつあるんです。この現代建築の存在を、観光客の立場だけでなく地域にかかわるさまざまな主体をイメージしながら、歴史的な町並みとの調和という観点から考えてみようといった具合です。観光におけるオーセンティシティを考察する切り口に近いといえます。

 

高岡 大学の学びにおいては、どちらが正しいのかということは重要ではなく、問うこと自体に意味がある、という意識づけにもつながりますね。

 

西川 ひとつの正答を導くのは高校までで、立場や人によって答えは違うけれど、そこに何らかの論理性があればその主張も認められるんだ、っていうところでしょうか。

 

―― いまのおふたりのやりとりにもあったとおり、「基礎演習」は高校から大学への接続教育という役割も担っています。高岡先生も「基礎演習」のクラスを担当されましたが、手応えはいかがだったでしょうか。

 

高岡 新入生を相手に授業をするのは楽しい、というのが率直な感想です。どの学生もモチベーションが高く、期待に目を輝かせていますね。私のクラスでは、基本的なスキルの習得だけでなく、実際にレジュメを作ってみたり、レポートを書いたり、プレゼンテーションに挑戦したりしました。運動系の部活動では、1年生は黙々とランニングをして基礎体力づくりをさせられることもあります。ただ、それだけでは少し退屈なので、実際に試合に出てみることも大切だと考えたのです。結果として、学生たちの取り組みは素晴らしく、みんな着実に成長しているなという実感が毎週ありました。

 

西川 私の「基礎演習」では学期末の2回分を使って、「この演習で学んだことは何か」とか「これからの4年間で何をやっていきたいのか」といったことについて、ひとり5分間で発表してもらいました。クラスの24名全員がお互いの学習成果や4年間の展望を知ることができて、よい締めくくりになりました。

 

高岡 1年生の春学期の時点で、観光学部での4年間のヴィジョンを描かせたのですね。「これから観光学部で何を学ぶのか」という問いかけは、「卒業したらどういう人間になりたいのか」という、より大きな問いにもつながります。目標とともに出口を意識させることで、自分なりの学習計画や大学生活のあり方を真剣に考えるようになったのではないでしょうか。

 

 

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※ この対談は2020年11月11日に立教大学新座キャンパスにてオンラインで実施されました。

※ この対談は2021年4月に発行される『RT』第1号に掲載予定のものです。発行時には文章表現などが変更になっている場合があります。

 

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